大きな戦争が終わった後だった。
草木は枯れて、動物はいなくなり、有害物質に覆われた見るに堪えない汚らわしい灰色の世界。
人類は絶望の一途を辿るばかりだった。
そこでだ。
人類は、化学でできたユートピアを作ろうとしていたのだ。老いる身体、整形を重ねなければ満足いく身体すら手に入らない不条理な体、飢餓と毒ガス、地雷に争い。病気に怪我にエトセトラ、どんな場面でも〝 死 〟がまとわりつく〝人の身体 〟は、なんとも不便で仕方がない。
そこで人類が導き出した答えは脳の情報をデータ化し、機械の身体に移して老いない身体を手に入れる術だった。機械であれば食物を摂取することも、排泄物を出すことも、病気もなければ死も存在しない。壊れればすぐ治すことが出来るまさに
理想的な身体である。
非の打ち所ない理想郷で君達がやるべき事は
一体なんなのだろうか。
完璧な〝白色 〟の世界で、誰が此処に
「救いが必要だ」と願ったのか。
君達は、それを見極めなければならない。